新着資料紹介

2018-12-26
「移動スーパーとくし丸のキセキ」

住友達也著(西日本出版社)

 買い物難民と言われる、移動手段を持たず近くに店もない高齢者の自宅の庭先やすぐ近くまで、軽トラックで移動販売する「とくし丸」。本書はそのシステムの設計から軌道に乗るまでの軌跡と奇跡をたどる内容です。移動スーパーの多くが赤字を抱える中、何故とくし丸は継続できるのか? その理由がよく分かります。地域のスーパーと販売パートナー、両者をつなぐ株式会社とくし丸。それぞれの地域の資本、組織、人材で循環する仕組みを目指す、持続可能なビジネスモデルです。熊本県内でも2018年2月に走り始め、今後も増えそうです。運転免許返納者はこれからますます増えるでしょう。自分で選んで買い物をしたい顧客を掘り起こし、「ありがとう」とお客様から言われるビジネスの拡がりに、各方面からの期待は一層高まりそうです。

2018-11-30
「ものがたりのあるものづくり~ファクトリエが起こす『服』革命」

山田敏夫 著(日経BP社)

 本書は熊本の老舗洋品店に生まれた著者が「作り手の思いを感じ、洋服を買ってもらうこと」を目指して、これまでの試行錯誤や現在に至るまでの取り組みを語った1冊です。著者は「メイド・イン・ジャパン」にこだわり、従来はアパレルメーカーの黒子であったものの素晴らしい技術力を誇る工場とだけ契約し、インターネット通販で販売するビジネスモデルを作り上げてきました。店舗を増やさず、価格は決して安くはなく、セールもない。生産工場を公開し、得られた利益は作り手と売り手で対等に分かち合う。新しいビジネスモデルはある意味、関係者全員gあWin-Winの立場で利益を得られる当たり前のことだとも言えるでしょう。熊本から発信している「新しい当たり前」をつくるビジネスモデル、ぜひ応援したいものです。

2018-10-31
「キャッシュレス決済革命~『脱現金』でお店の売上を伸ばす!~」

日本経済新聞社 編集・発行

 キャッシュレス決済が注目を集める中、本書はクレジットカードや電子マネーも含めた決済の多様化を俯瞰しています。現金利用度が高い日本の現状を踏まえ、世界各国の動向と比較してあり、訪日外国人の視点も参考になります。加えて、訪日観光客向けだけでなく、国内小売業や地域で既に行われている取り組みなども幅広く紹介しています。今後の拡大が予想されるキャッシュレス決済について、どの事業者がどのように取り組んでいるかも分かり、中小事業者が導入を検討するにも参考になる1冊です。

2018-09-27
「街は記憶するⅢ ~平成28年熊本地震~」

(上通商栄会 編 上通新書)

 本書は熊本地震で被災した熊本市上通商店街の復興過程をまとめたものです。地震直後の被災状況や炊き出しなどの支援、被災後に再確認した顧客との絆やお客様からの信頼、店を再開するまでの過程などが収録されています。加えて、それぞれの店の創業時についても述べられており、上通商店街の成り立ちと変遷について理解が深まります。前2作(「街は記憶する」「街は記憶するⅡ」)と合わせ、記憶を記録にとどめる本書の存在は貴重です。
 桜町の再開発が1年後に迫る中、震災を乗り越えて時代に応じて変化していく街だからこそ、街の個性を活かした街づくりにも役立つ1冊です。

2018-08-27
「コンビニ外国人」

(芹澤健介 著 新潮新書)

 本書によればコンビニ大手3社で働く外国人は2017年に4万人を超え、私たちの最も身近で働く外国人です。また外国人労働者は128万人(2017年10月末、厚生労働省)、日本に住む外国人は247万人(在留外国人数)と過去最高です。そこで著者はコンビニで働く外国人を中心に100人以上に取材しています。そこから、彼ら・彼女らは留学生が多いことや、入国前の本人の希望、送り手・受入れ側の事情などが分かります。自治体の中には人口減少をにらみ、将来は外国人の奪い合いが起こる、と予想し、「共生」に積極的に取り組みはじめる自治体もあります。今後、職場や地域で外国人と隣り合わせになる可能性は高まるでしょう。「共生」は言葉でいうほど簡単ではありませんが、本書を読めば、それでも些細なことから始まるコミュニケーションが重要だと気付かせてくれます。

2018-07-30
コミュニティー・キャピタル論~近江商人、温州企業、トヨタ、長期繁栄の秘密

(西口俊宏 辻田素子 著 光文社新書)

 本書は、特定コミュニティー・メンバー間の「同一尺度の信頼」に支えられたつながり力に着目し、優れたパフォーマンスを示すコミュニティの特徴を明らかにしています。本書で取り上げられた3つのコミュニティーはいずれも優れた情報伝達力と環境適応力を有しますが、コミュニティー・メンバーの種類が決定的に異なります。「三方よし」で知られる近江商人と中国の温州企業は血縁・同郷縁、トヨタのサプライチェーンは「トヨタに納入し、トヨタ生産方式を順守しているかどうか」です。東日本大震災での半導体メーカーの復旧プロセスは、トヨタのサプライチェーンと競合他社、官と民といった枠を超えたコミュニティー・キャピタルが早期に構築可能であることを示唆しています。個の力だけでなく、帰属するコミュニティー全体がよい変化をもたらすにはどうしたらよいか。本書の最後に書かれた「読み終えた後、何をすればよいか」に方向性が示されています。

2018-06-28
「熊本地震 あの時何が」

(熊本日日新聞社 編集・発行)

 本書は熊本地震半年後から熊日紙面で掲載された17編158回分の連載をまとめた1冊です。地震に直面した組織や地域社会が直面した現実、その苦境を切り抜けるためにどうしたのか、関わった人々の思いや行動に目を向けた貴重な記録です。町役場や県災害対策本部、市民病院や水道局などの行政機関をはじめ、百貨店、菓子メーカー、ビール工場、さらに全国から応援に来てくれた支援ボランティアの動きなど多方面にわたります。各地で地震など自然災害が起こる中、今後の教訓となるのは間違いありません。

 

2018-05-30
「地元経済を創りなおす~分析・診断・対策」

(枝廣淳子 著 岩波新書)

本書では、働く場がなく若者の流出が続く地域や人口減少地域の将来を考えるには、現状を分析し、地元の経済をきちんと回し、お金や雇用を地元の外に依存する割合を下げることが重要だと訴えています。地元経済の現状を産業連関表を使って「見える」化し、さらに地域経済の「漏れ穴」をふさぐ取り組みを重ねている地域を紹介し、具体例を挙げながらどうしたらいいかを考えています。熊本県内から山都町水増集落や水俣市の実践例が取り上げられており、力づけられます。

2018-04-30
「入社1年目の教科書」

(岩瀬大輔 著 ダイヤモンド社)

本書のタイトルからは新人向けと思われるかもしれませんが、中堅・ベテラン社員が読んでもハッとする内容が満載です。冒頭の「仕事における大切な3つの原則」、おわりにの「社会人の『勝負どころ』」など、思い当たる方も多いのではないでしょうか。

新人だけでなく、社員教育や人材育成にも役立つでしょう。新年度の始まりに手にしたい1冊です。

2018-03-29
「地方創生への挑戦」

(熊本県立大学総合管理学部COC事業プロジェクトチーム編 中央経済社)

熊本県立大学は平成26年度より「知の拠点整備事業(大学COC事業)」に取り組んでおり、本書はその事業の一環です。本書では、①医療・福祉・介護体制の整備、②農業による地域活性化、③地域の情報化と都市計画の3つのテーマについて、県立大学総合管理学部を中心に当研究所も協力して研究成果をまとめています。県の基幹産業である農業については、熊本地震の影響も踏まえ、農業に潜在する富の存在や6次産業化に向けた提言がされています。地方が取り組む必要がある課題について考えさせられる1冊です。

2018-02-26
「まるわかり! RPA」

(日経コンピュータ編 日経BP社)

RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボットを使ってホワイトカラーの事務作業を自動化することで、ホワイトカラーの働き改革に効果があると注目されています。本書ではRPAとは何か、導入のポイントと導入事例、主要製品やサービスなども解説しています。導入事例ではルールに基づく定型的な作業を、人に代わってソフトウエアが高速かつ正確に実行し、面倒で時間がかかるPC作業から解放された様子が紹介されています。導入企業はどのような業務を自動化したのか、どのRPAツールを選べばいいのか、どのように導入すればいいのか、という具体的な情報が得られる1冊です。

 

2018-01-29
「シェアリングビジネス」

一般社団法人シェアリングエコノミー協会監修(日本経済新聞出版社)

今後、間違いなく広がるであろうと予想されるシェアビジネスについて、現状、課題、課題解決のための取り組みなどを分かりやすくまとめた1冊です。よく知られている民泊は「空間」をシェアしますが、自動車や自転車による「移動」のシェアや、人の持つ「スキル」のシェアなどもすでに行われています。シェアリングの拡大には提供者側と利用者側との相互信頼感が重要なカギになると本書では指摘しています。若い人ほど利用に抵抗がなく、シェアリングによって社会が変わると予感させる1冊です。

2017-12-22
「鶴屋駅弁当ものがたり」

鶴屋百貨店(熊日出版)

鶴屋百貨店で毎年2月に開かれる「全国有名駅弁当とうまいもの大会」は業界では「東の京王、西の鶴屋」と言われるほど盛況で、昭和40年の第1回以降、全国で最も長く続いている駅弁大会です。本書には時代時代の担当者が乗り越超えてきた困難と、どうすればお客様に喜んでいただけるかを追い求めてきた「ものがたり」が詰まっています。常に時代とお客様の変化に敏感で、手間をいとわないその姿勢が同社の強みであるのは間違いないでしょう。

2017-11-27
「地域の力を引き出す企業」

細谷祐二 著(ちくま新書)

筆者が一貫して主張しているのは、地域活性化の成功確率を高める主体は、加工組み立て型の量産工場ではなく、むしろ規模は相対的に小さいが創意と工夫に長けた企業である、という点です。具体的には特定の分野で極めて高い競争力をもち、国際市場で高いシェアを維持している、ものづくり企業をグローバル・ニッチトップ企業(GNT企業)と呼び、全国各地で取材した多くの事例を本書で紹介しています。GNT企業は規模が小さいゆえに他者の力を借りるのが得意で、独自の企業間ネットワークを保有している企業も多く、強みとなっているのが分かります。また、本社や協力工場が立地する地域への付加価値を高める存在でもあります。多数存在する小さな組織体が「小さいことの優位性を生かす」ことを糸口に、モノづくりの分野に限らず、様々なネットワークを持ち、GNT企業に成長しそうな企業にもっと注目したくなる1冊です。

2017-10-30
「未来の年表~人口減少日本でこれから起きること」

河合 雅司 著(講談社現代新書)

本書では「人口減少カレンダー」として2017年から2115年まで年代順に人口減少によって何が起きるかを示しています。東京オリンピックに沸く2020年は女性の過半数が50歳以上となる、2024年には全国民の3人に1人が65歳以上に、そして2056年には生産年齢人口が5,000万人を割り込む、と具体的です。ではそうした未来に対して現在の大人たちは何をすべきか。著者は「戦略的に縮む」ことを提言しています。そのための10の処方箋には、高齢者の定義の見直しなど現在の発想の転換を求める内容が示されています。次世代に豊かな日本を引き継ぐには今を生きる人々だけが「おいしい思い」をすることを避ける覚悟を求めています。

2017-09-25
「田園回帰1%戦略 地元に人と仕事を取り戻す~シリーズ田園回帰第1巻」

藤山 浩 著(農文協)

本書では中山間地でも定住者を毎年、人口の1%増やせば多くの地域は将来人口を安定化できると述べています。100人の集落ならば3~4年に1組増えればいいということになり、実際に島根県の中山間地での実績が紹介されています。また「循環の経済」構築に向けて域内消費額を1%増やそうと、パンや野菜など原材料から地元で生産・製造されたモノの消費を増やした事例からは、やれることはまだまだあると感じます。人口統計や産業連関表を用いた分析とともに説得力があり、「循環の経済」を支える「小規模」「分散」「複合化」「近隣循環」の設計原理は、中山間地に限らず地域の持続可能性を考える上で重要な鍵となるでしょう。

2017-08-28
 「10年後、君に仕事はあるのか?」

藤原和博著(ダイヤモンド社)

著者は杉並区立中学校で民間初の義務教育学校長を務め、現在は奈良市の公立高校校長として教育改革に取り組んできました。今後10年の間に、ネットとつながったロボットが多くの場面で働き、人間の代わりに仕事をする社会になると予想しています。それに対して「稼ぐ」大人になるにはどのような力が必要か、現在の中高生が大人になった時、どのような力が求めれれるかを語っています。これから社会人となる若者だけでなく、企業や組織にとって今後どのような人材・力が求められるのか、10年後の変化にどう備えるかを考える上でも大いに参考になる1冊です。

2017-08-03
「大学的熊本ガイド~こだわりの歩き方」

熊本大学文学部編(昭和堂)

本書は熊本大学文学部の教員が中心となって、学問的な薀蓄をまじえて熊本市を中心に観光や街歩きのスポットを紹介するガイドブックです。地元住民にも目新しいと思われる研究成果や興味深い薀蓄が満載であるのに加え、熊本地震による被害やその後の復興への取り組みも取り上げています。「幻の熊本駅」「移民県熊本の作つくり方」「漫画大国・熊本」「中心市街地をめぐる「ヒト」という資源」など、どの章から読んでも引き込まれ、熊本人気質への理解も深まることでしょう。また、本書は「大学的地域ガイド」シリーズの1冊でもあり、他の地域と読み比べるのも面白そうです。

2017-07-03
「OECD幸福度白書3」

(OECD)

OECDの「幸福度調査」は人々の幸福な暮らしに欠かせない構成要素を、幸福を形作る11の側面(①所得、②仕事、③住居、④健康、⑤教育、⑥ワーク・ライフ・バランス、⑦環境、⑧社会とのつながり、⑨住民参加、⑩生活の安全、⑪主観的幸福)と4つの資源について、統計値に基づいて加盟各国の現状を報告しています。幸福度に関する調査は熊本県でも「県民総幸福量」として県民アンケートをもとに指標化する取り組みが行われています。いずれも地域社会の持続可能性を実現していくために大切な視点だと言えるでしょう。

2017-05-29
「熊本地震と震災復興(熊本県立大学ブックレット3)」

(熊本県立大学)

熊本地震では県立大学をはじめ各大学は避難場所を提供しただけでなく、学生ボランティアの活躍には目覚ましいものがありました。本書は熊本県立大学における地震直後の大学・学生の取り組みと、公共、ビジネス、ICT、福祉の各分野の教授陣が1年生を対象に行った講義とで構成されています。災害時の対応や復興に向けたその後の研究の実践は、今後の防災・減殺の取り組みにも役立つでしょう。

2017-04-24
「熊本地震 復旧の軌跡 創造的復興へ~誘致企業は如何にしてその危機を乗り越えたのか~」

(熊本県誘致企業連絡協議会)

1年前の熊本地震では県内に進出している大手製造業も甚大な被害を被りましたが、早期の生産回復に向けた全社・取引先企業が一丸となった取り組みは多くの県民を勇気づけました。本書ではそうした誘致企業のうち10社に取材し「どのような対応を取り」「どのようにして早期復旧を果たしたのか」をまとめた記録です。災害に備える重要性、BCPへの取り組みなど、大いに参考になるでしょう。

2017-04-07
「平成28年度 商店街通行量調査」

(熊本市・熊本商工会議所)

この調査は、熊本市と熊本商工会議所が昭和43年から実施しており、中心商店街をはじめとする37地点の通行量とその推移がわかる資料です。平成28年度の調査では、熊本地震の影響が懸念されましたが、全体の通行量は74万3千年で前年度比0.43%増となりました。中心商店街は、郊外の大型商業施設が被災により休業したことで買い物客が集中し、前年度比2.78%増の66万7千人でした。健軍や子飼などの地域商店街は前年度を22.46%下回る3万4千人でした。

2017-02-27
「平成28年 賃金構造基本統計調査(賃金センサス)」

(厚生労働省)

先日厚生労働省が公表した「平成28年 賃金構造基本統計調査(賃金センサス)」によれば、一般労働者(短時間労働者以外、正規・非正規を含む)の月額賃金は男性335,200円、女性244,600円で、男性を100とすると女性は73.0となり、男女間の賃金格差は過去最少でした。この調査では熊本県内の賃金も同様に公表されており、男性は284,200円、女性は214,400円でした。全国を100とすると熊本県男性は87.8、女性は87.7といずれも全国より1割以上低くなっています。この調査ではさらに産業別年齢段階別の賃金も公表されていますので、賃金水準の目安となるようです。

2017-02-02
「【現代語訳】『熊本明治震災日記』水島貫之著(明治22年)」

熊本市都市政策研究所編・発行

熊本もかつて大きな地震に見舞われていたことを、多くの人は昨年の熊本地震後に初めて知りました。本書の原著となった『熊本明治震災日記』は、明治22年7月の地震発生から1か月の日記をもとに同年10月に発行されたものです。著者は熊本初の新聞「白川新聞」の創始者の一人でもあり、原著には震災後35日間にわたる日記だけでなく、新聞記事等の抜粋、噂話を信じて人々が逃げ出す様子、地震学者や地質学者の学術的報告書を収録しています。現代語訳の出版によって、私たちだけでなく将来にも地震の教訓を引き継ぐことができる1冊となっています。

2016-12-26
「神山プロジェクトという可能性」

NPO法人 グリーンバレー、信時正人 著(廣済堂)

徳島県神山町は人口5千人強の過疎地ですが、若い移住者が増加し注目を集めています。神山町で20年以上前に始めた活動は小さなものですが、そこから「少しずつ増殖」し、「よそ者、ばか者、若者」に加え「ほんもの」を大切にし、短期間で結果を求めるのではなく、「ほんもの」を作るのに時間をかける姿勢が根底にあるようです。地域おこしを実践してきた中心人物が語る経緯や狙いなどには多くの示唆が含まれています。

2016-12-26
「平成27年 熊本県観光統計表」

熊本県商工観光労働部 観光課)

平成27年(1~12月)における熊本県内の観光客に関する統計。同年の観光客総数は前年より1.2%増の59,723,645人。内訳は日帰り客数が0.9%増の52,521,432人、宿泊客数が4.0%増の7,202,214人。うち外国人宿泊者数は33.1%増の643,831人でした。平成28年は熊本地震の影響で4月から落ち込んでいますが、まずは平成27年の数字が当面の目標となるでしょう。

2016-11-08
「熊本地震 連鎖の衝撃」

(熊本日日新聞社)

 熊本日日新聞の紙面で5月から7月まで掲載された特集記事を1冊にまとめたもの。「建物編」「避難編」「ライフライン編」「経済編」「文化財編」など、地震後の様々な現場を取材した記事からは、あらためて被害の大きさが伝わってくる。時間の経過に伴いこうした事実は忘れられがちであるが、明らかになった課題とともに将来に伝えていく必要があろう。

2016-09-26
「そのときラジオは何を伝えたか~熊本地震とコミュニティFM」

米村秀司著(ラグーナ出版)

 震度7を2度経験した熊本地震発生直後から、防災メディアとして生活関連情報を伝え続けた熊本シティエフエムの災害対応を手掛かりに、災害時の「コミュニティFM」の在り方を考える1冊です。災害マニュアルの整備、防災訓練の大切さも伝わってきます。

2016-08-29
「評伝 天草五十人衆」

 天草学研究会 (弦書房)

 地元の郷土史家や文化関係者でつくる天草学研究会が約3年かけてまとめた力作です。鎌倉時代以来約800年の間に天草島で生まれた、あるいは他郷から天草に入った人の中から50人に絞り込んで、歴史と地域性を背景に“人とその時代”を丁寧に描いています。どの人物を読んでもぐいぐいと引き込まれ、天草の新たな魅力を発見できる貴重な評伝です。

2016-07-20
熊本市 「都市形成史図集-戦後編-」

(熊本市都政政策研究所)

 熊本市都市政策研究所が平成26年10月に刊行した「熊本都市形成史図集」(明治22年~昭和22年)の続編として作成しました。昭和20年の熊本復興都市計画図から平成26年の熊本市全図まで、全15葉の地図と解説、年表とで構成され、戦後70年間の熊本市の変遷が地図から見えてきます。熊本市の地域認識・歴史認識に欠かせない1冊となるでしょう。

2016-03-09
日本の人口1億2,711万人(前回調査比0.7%減、調査開始以来、初の減少)

(総務省統計局 国勢調査人口速報集計結果」)

 総務省が発表した2015年国勢調査の速報集計結果によれば、日本の人口は5年前の前回調査に比べ0.7%減の1億2,711万人でした。国勢調査で前回比マイナスとなったのは初めてです。熊本県の人口は178万6,969人と前回に比べ1.7%減少しています。県内人口は2000年調査より減少が続いています。また、47都道府県のうち人口増加は8都県、減少は39道府県、さらに全国の市町村の82.4%にあたる1,416市町村で人口が減少しています。なお年齢別人口や世帯の状況は10月以降に公表される予定です。

2015-08-18
県内の給油所数798店、前年度末に比べ11店減少

 九州経済産業局 九州の給油所数(平成26年度末)

 九州経済産業局が発表した九州各県の給油所数によると、平成26年度末現在の県内の給油所数は798店でした。前年度末に比べると11店の減少にとどまり、ここ5年間では減少数は少なかったのですが、平成21年度末に比べると131店減少(14.1%減少)しています。その中でセルフ給油所数は21年度末の149店から26年度末には190店に増え(27.5%増)、全体の23.8%を占めるまでになりました。

2015-06-12
「くまもと魅力発見の軌跡」

 (熊本ルネッサンス県民運動10周年記念誌)

『熊本の魅力発見と賑わい創造』をめざし、2004年に県内の文化、経済団体や企業、行政が連携して設立した熊本ルネッサンス県民運動本部は10年の活動を終えて先ごろ解散しました。本書は永青文庫常設展示室の創設、肥後学講座やみずあかりの開始から現在に至るまでの活動記録でもあり、県民運動本部が生み出した成果を今後に引き継ぐ道しるべとなるでしょう。

2014-12-25
県内商店街実態調査 空き店舗率11.4%

熊本県商店街実態調査

 熊本県は商店街の店舗数や課題等の基礎的情報を得るため、3年に1度この調査を実施しており(店舗数は毎年基礎調査として実施)、今回は180商店街から回答がありました。空き店舗数は全体で1,017店、空き店舗率は11.4%で前年に比べ0.3ポイント増とわずかに増えていました。出店と閉店どちらも多いのは飲食店です。また、空き店舗対策を何も講じていない商店街が68.3%に達し、後継者難などの課題が大きいことがうかがえます。

2014-07-30
住宅の空き家率 熊本県は14.3%、熊本市は14.0%

総務省「平成25年住宅・土地統計調査」

 総務省が公表した「平成25年住宅・土地統計調査」(5年に1度実施)の速報結果によると、熊本県内の住宅総数は80万4千戸で、5年前に比べ3万5千戸増加しています。このうち、空き家が11万5千戸で空き家率は14.3%に上昇しました。また、熊本市の住宅総数は35万7千戸、空き家率は14.0%でした。
 この調査では建築年代別の住宅戸数も公表されており、住宅に関する広範囲なデータを得ることができます。

2014-07-11
『これからの熊本を考える~2020年へのアプローチ~』の発刊について

この度、当研究所設立25周年を記念し、調査研究報告書『これからの熊本を考える~2020年へのアプローチ~』(2,160円/A4判、フルカラー、91頁)を発刊致しました。詳細についてはホームページ左部・調査研究報告書よりご確認下さい。

2014-05-07
平成25年度県内大規模小売店舗の新設届出件数、23件

 熊本県HP「大規模小売店舗立地法届出状況」
 
 平成25年度の大規模小売店舗(店舗面積1,000㎡以上)の新設届出件数は、県内では前年度比4件増の23件、全国では同35件減の703件でした。県内届出のうち、熊本市と菊陽町にそれぞれ5件の届出があり、菊陽町の区画整理事業地域への出店(3件)が目立ちました。
 (参考) 熊本市「大規模小売店舗立地法に関する手続きについて」
       経済産業省「大店立地法の届出状況について」

2013-11-26
退職給付額、勤続35年以上の大学卒は2,156万円、高校卒は1,965万円

(厚生労働省 平成25年「就労条件総合調査」)

 厚生労働省は毎年行う「就労条件総合調査」の結果を公表しましたが、平成25年調査結果には5年に1度実施する退職給付(一時金・年金)調査が含まれています。地域別には集計されていませんが、退職給付額が分かる数少ない調査です。1人平均退職給付額は、大学卒(管理・事務・技術職)では勤続35年以上が2,156万円、同30~34年が1,856万円、高校卒(管理・事務・技術職)ではそれぞれ1,956万円、938万円で、5年前に比べるといずれも減少していました。5年前の調査では企業規模別集計も公表されていますので、今後の公表結果が待たれます。

2013-10-22
結婚式、披露宴にかかる費用 熊本県380万円、九州6県364万円

(リクルート ブライダル総研「ゼクシイ 結婚トレンド調査2013」)

 リクルートグループのフライダル総研が毎年公表している「ゼクシィ結婚トレンド調査」によると、2012年の挙式、披露宴・披露パーティにかかった費用の総額は熊本県では平均380万4千円、招待客数は平均112.1人でした。九州6県は費用364万3千円、招待客数99.54人、全国は費用340万4千円、招待客数73.1人でしたので、当県の結婚式、披露宴は招待客数が多く、費用も高めなのが分かります。

2013-10-01
東京オリンピック時と現在の日本

(総務省 東京オリンピック時(1964年)と現在(2012年)の日本の状況)

 2020年の夏季オリンピック開催地が東京に決定した事から、総務省統計局で1964年当時と現在の日本の状況を主要な統計指標で比較しています。当時の人口は9,718万人、2人以上の勤労世帯の1カ月の家計消費支出額は45,511円です。2012年の人口は1億2,752万人、家計消費支出額は7倍近い314,229円に伸びています。改めてこの約50年で暮らしが変わったと実感させられる数字です。

2013-08-28
県内在住の外国人、8.782人

(総務省 「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成25年3月31日現在)」

 総務省が発表した住民基本台帳に基づく人口動態調査は、今回の調査から住民基本台帳法の適用対象となった外国人居住者も含まれるようになりました。県内に居住する外国人は8,782人、全国では32番目、県内人口に占める割合は0.48%でした。5歳区分年齢別、県内各市町別、にも公表されており、市町村の人口に占める割合が1%を超えたのは、産山村、南小国町、長洲町でした。
 なお、これまで3月末時点で集計されていましたが、次回からは1月1日時点の調査結果に変更されます。

2013-08-12
ガソリン価格、4年10か月ぶりに160円台に

(資源エネルギー庁 「石油製品価格調査」)

 資源エネルギー庁によると、レギュラーガソリンの小売価格は前週比1.3円上昇し160.1円と、2008年10月14日以来、4年10か月ぶりに160円台に値上がりしました。熊本県内の価格も前週比1.0円上昇し、2008年10月20日以来の160.0円に値上がりしました。
 ちなみに、1年前は全国平均が139.6円、熊本県は140.7円でしたので、約20円も値上がりしています。

2013-07-09
行ってよかった観光地ランキング、平山温泉が3位に

(「じゃらん九州・山口人気観光地ランキング」第16回調査)

 旅行情報誌「九州じゃらん」が毎年読者を対象に行っている九州・山口の観光地に関するアンケート調査によると、2012年の行ってよかった観光地ランキングで、熊本県の「平山温泉」が昨年の第7位からランクアップし、第3位にランクインしました。ちなみに第1位は「ハウステンボス」(昨年4位)、第2位は「霧島温泉」(昨年2位)でした。

2012-07-10
熊本市商店街の通行量、36地点・2日間で72万5千人

(熊本市・熊本商工会議所「平成23年度商店街通行量調査」)

 この調査は熊本市と熊本商工会議所が1968年から実施しており、中心商店街をはじめとする主な地点の通行量とその推移がわかる貴重な調査です。平成23年度の調査では九州新幹線全線開業の効果も注目されましたが、実施時期がこれまでの8月から10月に変更され、調査地点も2ヶ所変更されていますので、前年と単純に比較できないことに注意が必要です。
 35地点で2日間の通行量は全体で72万5千人で、単純な比較はできませんが前年より約2割増えています。

2012-06-01
インターネット人口普及率、熊本県は73.2%

(総務省「平成23年通信利用動向調査の結果」)

 総務省によると、平成23年の熊本県内のインターネット人口普及率(1年間にインターネットを利用したことのある人の比率)は73.2%で、全国の79.1%を約6ポイント下回っています。
 また、最近普及が目覚しいスマートフォンの世帯保有率は、熊本県は25.8%でした。全国の29.3%を3.5ポイント下回っていますが、インターネット人口普及率に比べるとその差は小さいのがわかります。

2012-05-17
2011年度の大卒就職率は93.6%、4年ぶりに改善

(厚生労働省「大学等卒業者の就職状況調査」)

 厚生労働省と文部科学省の共同調査によると、2012年3月に大学を卒業した学生の4月1日現在の衆力率は93.6%でした。1996年調査開始以降で最低だった前年同期に比べ2.6ポイント増加し、4年ぶりに改善しました。
 九州地区では5.0ポイント増加し、93.2%でした。

2012-04-19
2011年10月1日現在の総人口、1億2,779万9千人

(総務省統計局「人口推計平成23年10月1日現在」)

 総務省によると、平成2310月現在の総人口は前年より259千人も減少(▲0.20%)し、12,7799千人でした。総人口には定住外国人を含み、日本人人口は12,618万人で202千人の減少(▲0.16%)です。
 
熊本県内の人口は1813千人(前年比▲0.27%)、日本人人口は1805千人(前年比▲0.26%)です。

2012-04-05
ガソリン価格7週連続で上昇。全国平均158円30銭、熊本県内158円80銭

(資源エネルギー庁「石油製品価格調査」)

 今回から資源エネルギー庁が発表するようになったレギュラーガソリンの小売価格は7週連続で上昇しました。熊本県内の価格も前週比110銭高の15880銭でした。なお、この「石油製品小売市況調査」は今月からみずほ総研が実施、資源エネルギー庁のホームページで公表するようになりました。

2012-04-02
ガソリン価格6週連続で上昇。全国平均157円60銭、熊本県内157円70銭。

石油情報センター

 石油情報センターが毎週発表しているレギュラーガソリンの小売価格は、6週連続で上昇しました。熊本県内の価格も、前週比3円高の157円70銭でした。
 なお、この「石油製品小売市況調査」は、1990年4月の調査開始以来同センターが実施してきましたが、2012年度からはみずほ総合研究所(株)が担当するそうです。

2012-04-02
大卒・専門学校卒の52%、安定した仕事に就かず

内閣府 雇用戦略対話 第7回会合配布資料

 内閣府は、就職先が見つからずにアルバイトをしたり、就職してもすぐに離職するなどで、正社員など安定した仕事に就いている人の割合は48%にとどまるとの推計を発表しました。

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